Viva la music!!

作曲家の日々のぼやき

【映画】『ミツバチのささやき』レビュー

1973年に公開されたスペイン映画。
とても詩的な作品である。
一切のヒントや具体性を無くした、静かで抽象的な映画。
この映画の背景にあるものを知らないと楽しめないだろうな。
好き嫌いが別れそうではある。
 
フランシス・フランコによる独裁政治が終了する数年前に制作されており、
スペイン内戦終了後の1940年を舞台とし、国政に対する批判を匂わせている。
独裁政権最中で公然と批判出来ないからこそ、
そこかしこに暗喩やモチーフを用いて表現したと言われている。
こういう時代だからこそ生まれた作品だろう。
少女アナを演じて絶賛されたアナ・トレントは一見の価値あり。
 
音楽も独特。
GlockenやPiano、フルートやガットギターを使ってるが、
主張せず、それでいて画と打ち解けず、独立しているような音楽だ。
こういう映画が退屈だという意見も勿論理解出来るのだが、
たまにこういう映画を観ると、作り手として色々と考えさせられるものがある。
1962年に製作された『ビリディアナ』という映画も同じ手法で作られているらしいので、そちらも今度観てみようかな。
 
では、また!